みなさまご承知の通り、我々を取り囲む情況は極めて厳しく、将来はさらに厳しくなることが推察されます。趣味のオーディオの世界も無縁では無く、秋葉原の電気街もすでにシャッターを降ろしたお店が増え、製造中止、終了、供給中止の電子部品が増え、機材のメンテナンスもままならなくなってきました。もちろん、部品の性能、特性、誤差を問わなければまだ潤沢にあるとも言えます。
一方、当店が欧州から輸入してきたドイツのヴィンテージ・オーディオ機器類ですが、この5年くらいで状態の良いものが格段に減りました。底をついたと言っても良いかもしれません。コレクターたちが交換会やオークションで買い手が付かず価格が伸びないので出品を引っ込めたのか、ネットオークションを使うと税金の申告義務が発生するからなのか、水害等の自然災害で失われたか想像の域を出ませんが、とにかく良いものが無いのです。
さらに今年に入って円がユーロに対して弱くなりました。2022年6月21日現在140円を付け、145円さらに150円を伺っています。テクニカルな買いは別として円が積極的に買われる要因が無い。チャートを見ると2016年ころは110円台でしたから4割も値下がりしたのです。コロナ禍による物流の滞りもまだ尾を引き以前のようには戻っていません。新品のチェコ製真空管すら輸入できないのが現状ですし、ロシア製真空管に至っては将来にわたっても輸入はほぼ断念せざるを得ないでしょう。
また、国際運賃も値上がりしましたし、世界的なインフレから取り残された我が国では待っていれば価格は下がるという消費パターンがすっかりすり込まれてしまったようで、いまやヤフオクは世界最安値のオークションです。
つたない文でしたが、以上のような事を踏まえて当面は新たに輸入することは考えず、今ある在庫を丁寧に販売してゆこうと考えています。