お知らせ

レコードコンサートの次にあるもの

2023.02.08
 3年に及ぶコロナ禍の中で様々なもの、こと特に文化を失った気がします。再生できる物、事あるいはもう元には戻せない物、事もあるでしょう。ですが、私たちはそれら失われてしまった物、事への思い、記憶はは忘れてはならない、心に刻んでおかなければなりません。なぜなら人間が人間であるための証明、コロナ禍の嵐の中、メルケルが言ったように生きる糧だからです。人間はその歴史が始まって以来、文化を自分たちで創造し、継続し、次の世代へ継承させていったのです。
 
 私たちはつい、日々の生活に汲々として目の前のことに目を奪われその場しのぎになってしまいがちですが、継承にもっと目を向けていかなければならないと思います。そんなことをかんがえていたところ、気持ちの良い青年に出会いました。日本とドイツの青年同士の交流を促す団体に属している方でした。お話ししたのは短い時間でしたが、自由な精神と自律心を持っておられる方のようでこれからの社会にも希望が持てるようで少しうれしくなったのでした。

 以下はレコードコンサートの反省文ですが、再掲します

 これまで何回かのレコードコンサートを開いてきましたが、レコードコンサートを行うことのこころづもりを少し申し上げたいと思います。
 
 地方公共団体の文化関係予算はただでさえ少ないのに、震災後はさらに削られつつあります。音楽関係団体の解散や各種の文化関係イベントが中止や縮小を余儀なくされるなか、小さい試みですが、サロン的雰囲気を守りつつ、よき時代の最良の音楽を最高の音質でお聴きいただける、このイベントを本当の意味で小山に根付かせ、発展させてゆきたいと思うのです。

 文化的サロンを継続することで地域社会の連携、教育的啓蒙、芸術的水準の高揚といった、ともすれば置き忘れられる人間の情緒的発達に関するテーマに寄り添い、音楽芸術の真価を聴くことによって人間が人間らしい生き方を見いだして欲しいと考えます。

 夢のない社会、ビジョンのない社会は人を育てません。今の政治の貧困、文化全体のサブカルチュア化に歯止めを掛ける何かを、わたくしたちは真剣に探し求めなければなならいように思います。その端緒となるような会に育て上げたいと思うのです。そのためにわたくしたちは継続してゆく努力を惜しまないつもりでおります。(以上、石井仁志氏の文章を編集)

 現在残されたレコードの中には歴史的名演、名演奏家による音源が少なくありません。一部のレコード愛好家だけの趣味にとどまることなく、音楽を演奏する方々にもぜひ聴いていただきたい。過去の古い演奏といって避けないでいただきたい。音楽的センスや音の響き、民族性などといった学校では
なかなか教われないなにかがきっとあるはずです。